何度も言っているのにちっとも聞いてない!?
Q: 息子が私の話を聞いてくれず、その時は「わかった」と言いますが、行動は少しも変わりません。私は同じことを何度も言わなければならなくて、ほとほと疲れます。 一度で聞いてくれる方法はありませんか?
A: ズバリ! 伝わる方法で話しましょう
子育てをしていると「イライラすること」はたくさんありますね。
学校からの知らせを出さなかったり、汚れた服がそのままだったり、朝の忙しい時に頼みごとをしてきたり…
何度も言ったはず。
幼児ならまだしも、中学生にもなって!!
もういい加減にしてよ、お母さんだって忙しいのよ。
そんなに勝手なら、もう知らない、自分でやりなさーーい!
こんな場面が日常になっていませんか?
これでは、言う方も言われる方も心地よくない展開ですね。
親が子どものしていることで困ることは、山のようにあります。
一回ずつ言っても山になるのに、何度も言わなければならないのでは疲れるのも当然でしょう。
相手にわかってもらうには、本音を伝える方法が効果的です。
それには「3つの法則」があります。
法則その1⇒ 「わたし」を主語にする
言葉には必ず「主語」があります。
日本語ではあえて主語を省くことが多いのですが、意味としては必ずあります。
「わたし」を主語にした言い方を「アイメッセージ」と呼びます。
法則その2⇒ 「感情」を言葉にする
「イヤ」「嬉しい」「悲しい」「悔しい」「好き」など、その時に感じている感情を表現しましょう。
困っている場合には、否定的な感情の言葉がありますね。
正直に素直に表すと親近感が湧き、相手の心に響くのです。
法則その3⇒ 相手の「アクション」に注目
相手に何かを言いたくなる時、その人は何をしていますか?
あなたがイヤだとか、困ったとか感じる時には、相手がしている行動が原因になっていますね。
それを明確に伝えることを「アクショントーク」と呼びます。
つまり、自分の困っていることを相手にわかってもらいたい時には、「アイメッセージ」と「アクショントーク」をミックスして伝えます。
普段の会話 VS 3つの法則の会話
<S美さんの例から>
状況:中学生の息子に毎日お弁当を作っている。空のお弁当箱はシンクに持ってくることになっているが、出すのが遅い。夕飯の時に出してくれればいいんだけれど、度々夜遅くに出してきて、翌朝の支度にも影響することがあり、いら立っていた。
因みに法則を使わないこれまでの会話は、こんな感じ。
いつ話しているか?
→ 夕飯の洗い物をしながらなど、イラつきやすい状況で。
母 「お弁当箱、出てないわよ」(普通に言う)
息子「あ~、後で出す」
母 (ちょっとイラっとして)「後でじゃなくて、今出して!」
息子(ムスッとして取りに行く)「はい…」
母 (けっこうムカムカ)「明日も早く出してね!」
息子「…」(うるさいなぁ)
母 「…」(何、あの態度!?)
とりあえず息子は言うことを聞いてくれましたが、洗い物ができても、不快感が残ってしまいましたね。
3つの法則を生かした言葉に変えるとどうなるでしょうか?
法則確認!
1.主語「わたしは」
2.感情「うんざり」
3.アクション「お弁当箱を夕飯の片付け後に出す」
いつ話すか?
→ まだ夕飯の洗い物をしていない時。夕方など関係ない時。
母「あのね、お弁当箱のことなんだけど、夜の洗い物が終わった後に出されると、追加で洗わなくちゃならなくて、うんざりしちゃうの」
息子「あ~ 忘れちゃうんだよ」
母「そう、忘れちゃうのね。 でもね、気が付かなくて朝になっちゃう時もあるでしょ。そうすると、朝、お弁当を作る時に、まず洗い物をしなくちゃならなくて、時間のない朝にもう一つ仕事が追加される感じでイライラしちゃうのよ」
息子「そうか、ゴメン。早く出すようにするよ…」
解説:ここまでが3つの法則を生かした会話です。
うんざりする感情が生まれることに関わる相手の行いと、そのおかげで被る自分の行いをはっきり言葉にします→ 黄色の下線部分。
余計に感情的にならずに、事実を伝えるので、反抗する気が起きず素直に聞いてもらえます。
そして相手の反応はそのまま受け入れて確認します→ピンクの下線部分
でも日常のことはこれだけではなかなか改善しないので、以下のように続きます。
母 「早く出そうって思うのね。ただ、これまで何回もこの問答をしていて、ちっとも改善していないでしょ? だから、また忘れちゃうんじゃないかな~と心配だよ」
息子「う~ん、正直、弁当箱のことは食い終わった途端に忘れてる!」
母 「だよね~(笑) でも汚れたお弁当箱をそのままにするわけにもいかないし、どうしたらいいかなぁ?」
息子「え~~? …弁当箱を使い捨てにするとか?」
母 「うん、アルミ箔にくるむとか考えたことある」
息子「考えたことあるんだ!?(笑)」
母 「でもそれだとご飯をおにぎりにしなきゃならないとか、お弁当箱を使うより手間がかかっちゃうのよね」
息子「そうか~、なるべく早く出すようにするよ」
母 「うん、せめて夕飯を食べる前だと一緒に洗えるから助かるわ」
息子「わかった。それでも忘れて遅くなったら、自分で洗うよ」
母 「え!? 自分で洗ってくれるの?」
息子「うん、だからガミガミ言わないでくれよ。ムカつくんだよ」
母 「ガミガミって(苦笑)わかった。じゃあ、お弁当箱の話はこれでおしまいね(^^)/」
息子「そうそう(^^)/」
その後:この息子さんは、何回か自分で洗うことがありましたが、「めんどくさい」と言って、早めに出すようになったとのことです。このお母さんは、何より中学生の息子と何となく楽しい会話ができたことが嬉しい、と後から伝えてくれました。
わかり合えるコミュニケーション法
コミュニケーションには適切な方法があります。
大切なのは、本当の気持ちを伝えること。普段の会話では、感情を言葉にせずに用事だけ言うことがよくあります。でも言葉にしなくても感情的な部分は何となく伝わっていき、誤解を生んだり、不快感を持ったりしてしまいます。正直に感情を伝えると、多くの場合「あ~そう感じているから、こう言いたいのね」とわかってもらえます。
すれ違いを無くすと、ストレスがグンと減ります。
毎日を心地よく過ごしませんか💛