息子と父親の関係に母親はどう関わる?

「厳しい父親を息子が怖がりビクビクしています。子どもに悪影響があるのではないでしょうか?」

11歳の息子さんのいるA子さんからの質問です。

ズバリ答えましょう。
母親とコミュニケーションが取れていれば、大丈夫です。

身近に味方になってくれる存在が一人いれば、人は強く生きていかれます。
家庭は社会の一番小さい単位ですね。
個性の違う人が集まっているからこそ、様々な体験ができます。
年上の厳しい男性には、社会に出れば何人も出会うでしょう。
息子さんにとって、その最初の体験がお父さんなのです。

A子さんの言葉はこう続きます。

「夫は自分が厳しく育てられたため、父親というのは威厳を示さないとダメだと思っているようです。でも息子は怖がり、それまで楽しく遊んでいても、夫が帰宅すると遊びを止めてしまいます。息子が我慢しているのがとても気になって、夫に態度を変えてもらいたいのです」

母親であるA子さんは、毎日のことでとても気にされているのですね。
この場合、2つ注意するポイントがあります。

一つ目は、息子と父親の関係は二人に任せること。

子どもは親の人間性を目の前で見て、生き方を学んでいます。
特に同性の親は人生のモデルになる可能性があり、異性の親が介入できないこともあります。
但し例外は、心身に具体的に傷を負うような暴力がある場合は、直ちに子どもと自分の命を守る行動をします。
そうでなければ、子どもにとって良いことも嫌なことも成長の機会になるのだと理解しましょう。

二つ目は、母親としてどう接するか。
これが最も重要になります。
子どもが父親を怖がったり、反感を持ったりしている場合、子どもの気持ちや話を聞くことが、子どもの助けになります。

でも『話の聞き方』を知らないと、こんな風になってしまいがちです。

子「もうヤダ! あんな親父、うちに帰ってこなければいい!」
母「そんなこと言わないで。お父さんだって悪気があって言ってるわけじゃないのよ」
子「ウソだ! ボクが憎くてたまらないに決まってる」
母「まさか・・・そんなことないって」
子「じゃあ、ボクが悪いんだね。みーんなボクが悪いんだ」
母「え!違う、違う・・・」

どんどん悪い循環にはまってしまっています。
A子さんはここから抜けたくて、ほんもの家族『サクイエ』の連続個人セッションに参加されました。

その中で、子どもの気持ちを否定せずに受け入れて話を聞く方法を学びました。
すると同じような状況の会話が以下のように変化しました。

子「もうヤダ! あんな親父、うちに帰ってこなければいい!」
母「お父さんの言い方に腹が立ったのね」
子「そうだよ、自分の言いたいことだけ言って」
母「一方的に感じたんだ」
子「うん、こっちの言い分は何も聞いてくれないから、きっとボクのことが嫌いなんだ」
母「嫌われてると思うってこと・・?」
子「うん・・・ちゃんとボクの話を聞いてほしいんだよ」
母「そうなんだ、悲しかったのね」

母と子の気持ちがつながった瞬間です。
息子さんは気持ちを落ち着け、本当に望んでいることを母親に伝えることができたのです。
A子さんが子どもを思う気持ちは、以前もこの時も変わらないのですが、『聞き方』を変えたら話の展開がまったく変わりました。

子どもは自分に降りかかった試練を乗り越える力を持っています。
厳しいお父さんは、困難な岩山に登る体験のために必要な要素なのでしょう。
その時に、気持ちを理解して寄り添ってくれる母親は、何よりも心強い存在です。

見方を変えれば、夫が厳しくして嫌われ役をしてくれるおかげで、母と息子の関係を強化するチャンスになっていませんか!?

A子さんはセッションを続けるうちに、苦々しく思っていた夫への自分の気持ちが和らいでいることに気付きました。視点が変わるとものごとのとらえ方も変わってくるのです。
そして、A子さん自身が夫に正直にものを言えないで、気遣っていた事実にも気づきました。

「ニセモノ家族だった」

ここに気付いたら、『ほんもの家族』への道のりは、もう始まっています。